ウナギは魚か?

「ウナギは魚じゃない!」

 

そう力説したのは、わが社のベトナム人所長

 

先週末、会社主催の“寿司食べ放題食事会”に行った時のこと

 

分厚いウナギの乗っかった寿司を口いっぱいに頬張りながらそう叫ぶ所長と、わたしは真っ向から意見対立

 

「違う!ウナギは魚だ!」

 

そこに集った十数名のベトナム人社員たちも所長に賛同。「ウナギは魚じゃないです!」と口々に叫ぶ始末

 

不自由なベトナム語を駆使して「海にいて、泳げるものは魚!」と応戦すると、「じゃあ、クラゲは?カニは?エビは?」とふてぶてしい笑みを浮かべながら畳みかける所長

 

日本語ならちゃんと説明できるが、やはりベトナム語だと分が悪い

 

だったら日本語で言い返すか?でも、社員たちの中には日本語がまったく分からない子たちが数名いる。彼らに疎外感を感じさせたくはない

 

その時、わたしのすぐ隣に座っていたソフト開発者の女の子が、いきなりスマホを取り出し、「わたしググってみます」

 

皆の注目が一斉に彼女に注がれる

 

次の瞬間、彼女は大きな声で、ウナギについて書いてある説明文を読み始めた

 

「あっ、ここにハッキリ書いています。“ウナギは魚類”です!

 

うわーい、勝った~!!

 

孤軍奮闘した甲斐があったというものだ

 

社員たちの中には、不満げな様子の者もいれば、「実は僕も“魚”じゃないかなあって思ってたんです」という調子のいい輩もいたが無視

 

一人、勝利の雄叫びを上げるわたしに、「いやあ、さすが物知りですね~」と手のひらを返したように猫なで声を出す所長

 

他のベトナム人社員たちも、「さすが色んな事をご存知ですね」と“ほめちぎり作戦”に打って出た。自らの無知を覆い隠そうとするセコイ手だ

 

「ウナギは魚に決まってる!日本人ならみんな知ってるぞ!!」と偉ぶるアラフィフOL

 

そんな様子を、ニコニコしながら見守る社長。ベトナム語はさっぱり分からないはずだが??

 

「社長、ウナギは魚って常識ですよね?」

 

しかし、社長の答えは意外だった。「えっ、そうだっけ?魚だったかな??」

 

こうして、結局、話は振り出しに戻されたのである・・

 

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