受難の南部人 in ハノイ
我が社にはベトナム南部出身の社員がいる。20代半ばの陽気な男の子だ
色々話しかけてくれるのだが、ハノイ6年目で北部の発音にすっかり慣れてしまったわたしには彼の話す南部のベトナム語がほとんど聞き取れない
それである日彼にこう言った「北部の発音で話してよ~」
もちろん本気ではない。冗談のつもりだったのだが、彼は「はい、分かりました!」とやる気満々
こうしてその日彼はベトナム北部の発音に挑戦し続けたのだが、そのたどたどしいことと言ったら私のベトナム語のほうが流暢に聞こえるほど。同僚から「そんなのベトナム語じゃないよ」と言われる始末
この時、初めて知ったことなのだが、南部人にはどうがんばっても発音できない音あるようだ。そう発音しているつもりなのに、出したい音にならない。北部のベトナム人たちもこれには少々驚いたようで「えっ、マジ?!何で発音できないの??」と言っていた。それに対して南部人は返す言葉もないようだ
その日、さんざん皆からダメだしされ続けた南部人。結局、北部発音はあきらめたようだ。その代わりに作戦変更。彼はわたしに話しかける時も南部発音で、しかし、かなりゆっくり話すようになった。しかも、さりげなくわたしに南部発音を教え込むという巧みな戦法に変更したようだ